3月のライオン meets BUMP OF CHICKEN

3月のライオン meets BUMP OF CHICKEN

スペシャルクロストーク後編

スペシャルクロストーク後編

2014年11月28日(金)発売の「ヤングアニマル」23号から続く、スペシャルクロストーク。
ここからはお互いの作品について、じっくり語り合っていきます。前編を未読の方はぜひ書店にお急ぎください!

――それでは次は……。

直井
みんなに回していく?(笑)
羽海野
面接をしているような感じに。
目の前で言える機会。
増川
僕らはファンだから。
目の前で言える機会。
藤原
うん、ファンなので。
直井
でも、2人がかなりのところまで言っていたので、僕なりに本当に素直に思ったことを。また、同じようなことになっちゃうんですけど、やっぱり入口がとてつもなく広いんです。増川君が言ってたんですけど、このスピンオフマンガは、誰でも経験していること、もしくは目にしたことがある誰でも知っていること、マンガの題材になりやすいテーマで始まるんですよね。そういう場合、普通は途中から誰かが助けてくれるはずなんです、大人になる前に大切な仲間に会って、その仲間に力を借りて、肩を預けて、自分の足りない部分を補って進んでいく。そういうマンガや表現方法が多いと思うんですけど、(零は)「ひとりかっ」と思って。
羽海野
うふふ、ひとり(笑)。
直井
でもね、たぶんこういう考え方も僕はあって。きっとどんな仕事でも会社でも組織でも、みんな心の中に零君がいるんじゃないかなと思って。どんなに仲間がいても、ひとりな部分があって。どんなにわかりあえてても、どんな素敵な家族がいても、傍から見たらみんなに「いいね、幸せだね」「家族もみんな元気で、彼女もいるの?」「婚約して結婚もするんだ、仕事もすごくうまくいってるよね」って言われるような人でも、みんな心の中には零君と同じ部分がある気がしていて。で、このマンガの最後で、自分がすごく頑張っていたからこそ同じ方向を向いている人達がいる、って表現されているのは本当に素敵なことだと思うんですけど、全然終わらないんですよ、この人達の戦いって。
羽海野
そうなんですよ。
直井
全然ハッピーエンドじゃないし、むしろ、ちょっと、すっげー変な言い方ですけど、何も考えず、思いっ切りバーベキューとか行ったり、キャンプとかしたり……なんか泣きそうになっちゃうんだけど!
藤原
言って言って。
羽海野
言って言って。
直井
俺ら4人だって………。
藤原
そうだよ。
直井
羽海野先生だってマンガなんか描いてないでいいし、編集の人達だってマンガ家の人達と戦わなくていいし、レコード会社の人達だってどうやったらBUMPの曲が届くかとか考えてくれなくてもいいし。
藤原
USJ行きゃいいんだよ。
直井
そう。だから、誰にも必要とされていないなんて思われがちなところに、この世界の人達は自ら飛び込んでるなぁと思って。そういうところが、「3月のライオン」はクリエイターに勇気をくれる応援歌のようなマンガだと思うんですけど、実はクリエイターだけの応援歌じゃなくて、日々生きている人達に、一番届く応援歌なのかなって、改めてこの読切を読んで思いました。はい。
羽海野
ありがとうございます。
……4人目ともなると、さすがに酷だよね。
一同
(爆笑)
僕はすごい好きなシーンはたくさんありますけど、一番は(零が二海堂や島田達と棋譜を研究している場面を指して)ここですね。こういう零君と同じ仲間がすごいいっぱいいるっていう、大きくなったなっていう感動と共に、きっとここに描かれているこのひとりひとりに、零くんと同じような物語があったんじゃないかなって、勝手に妄想が広がって。きっと島田さんも山形でいろいろ収穫したんだろうなとか。二海堂は二海堂で病気もあるし大変なことがいっぱいあったんだろうなって。零君だけじゃなくて、ここにいるひとりひとりがいろいろなものを背負って戦っている。理由はそれぞれだと思うんですよね。零君が将棋を頑張るようになったきっかけは、やっぱりお義父さんが喜んでくれるからみたいな気持ちだったと思うんですけど……。(このあと「3月のライオン」に関する感想を話していると)
羽海野
すごい……! 最終回のころに出てくるセリフを、今言われました。
一同
(爆笑)
直井
すごいな! あと、羽海野先生、それ言わないで(笑)。僕らも読者なんだから!
すみません。すみません。
藤原
秀ちゃーん(笑)。
えーと、で、さっきのチャマの話にもつながるんですけど、「好きだな、楽しいな」ってだけでやってる登場人物はあまりいないじゃないですか。
羽海野
ですよね。
やっぱりみんなそうですけど、人生を賭けて何かをやることの辛さだったり喜びだったりがあるって描かれている気がして、好きなところなんです。
羽海野
嬉しいです。ありがとうございます。皆さんの感想、すっごい嬉しいです。ありがとうございました。

――こうやって作品を作り上げて、感想を言い合っても、全部言い尽くせるわけではないともちろん思うんですが、この座談会の最後の締めとして、またお互いにこれから作品を作っていく中で、互いの未来に向けて掛け合う言葉があるとしたら、どんな言葉でしょうか?

直井
おおー。
羽海野
難しいですね。
増川
なんかさぁ、これさぁ、超つれぇ(笑)
藤原
一度、僕は(コラボの打ち合わせで)羽海野先生の仕事場に遊びに行かせていただいたじゃないですか。
直井
いいなー。
羽海野
来てください。皆さんさえ良かったら。
藤原
たくさんのお話を聞かせていただいたんですよ。僕なんかは本当に浮かれた読者ですけど、僕のその話に合わせて、「マンガって面白いよね」って話してくださって。
羽海野
楽しかったです。
藤原
それで、その時に普段どのようにしてマンガを描かれているのかって伺いまして。マンガ家って肉体的にはすごくハードなお仕事だって、よく聞きますよね。で、本当にしんどいんだなってわかることをご本人が淡々と語られる。「わぁ、それしんどいな」って僕、本当に思いまして。それから、「3月のライオン」を読んでいる読者の方のことをすごく大切にしていて、ひとりひとりの読者の人達と真正面から向き合って生まれていっている作品なんだなと感じられて。だからこそ、こういった温度を持つ作品がここまで巻数を重ねてきたんだと思うんです。そしてそれは素晴らしいことだと思うんですけど、そこに至るまでの作業内容を考えると、やっぱり大変なことだと思うんです。すごく大変なことだと思うんです。なので、どうか身体を大切にしてほしいと、僕はそう思いました本当に。身体が元気だったらいい、ってわけでもないとは思うんですけど。でも、僕らを含め、読者はみんな「3月のライオン」の結末を本当に楽しみにしています。……ええと、もう少しで終わっちゃうっていうのは、そうなんですか?
羽海野
もう八合目くらいまで来たかなぁという感じで。読者の皆さんにも結構そう言ってるんです。
藤原
そうなんですか。じゃあ、物語もだいぶね、佳境に差し掛かってきているということですけど、それが寂しくもあり。この先を読みたいですね。早くね。楽しみにしています。じゃあ、2度目になりますけど「手を大切に」。
羽海野
ありがとうございます。

――じゃあ、羽海野先生からBUMP OF CHICKENへもお願いします。

羽海野
今回のマンガを描いていて改めて思ったんですけど、仕事をしていく時って、心持ちがとっても大事だなぁと。「ray」の、「理想で作った道を 現実が塗り替えていくよ」っていう歌詞を聴くだけで、最近泣けてくるんですよ。それでも、歌声は「空元気かな?」って感じで明るくて。
藤原
そうですね。
直井
(メンバーに向けて)ようやく伝わってる感じがするね。
羽海野
すごい切ない歌だなぁと思って。それで、「乗車権」で「俺一人 降ろす為 止まってくれる筈もねえ」って歌われているものにわたしは乗っちゃっていて、いろんなことがあってもう降りられないし……でも、そんな時に今回の短編を描いていて、BUMPさんがデビューした頃の歌を聴いて元気を出してみたり、辛くなってくると「乗車権」とか苦しいあたりの「ゼロ」とかを聴いて。
直井
あはは。苦しい?
羽海野
歌詞の内容が重い感じのを聴いて。で、シンクロして、「うぅぅ」ってなってみたり。でも、「ray」を聴くと、すごい悲しいんだけど、「歩くのは大変だ」って歌ってるけど、曲は明るくて、「このくらいの気持ちで描かなきゃ」って思って。だから、なんだろう、私はこれからもBUMPさんのいろんな曲を聴かせてもらって、進んでいくんだろうなと思います。
藤原
あぁ、ありがとうございます。
羽海野
これからもよろしくお願いします。
藤原
ちょっとはみ出しちゃっていいですか?

――どうぞどうぞ。

藤原
「ray」を書いてから今日に至るまで、“空元気”という一番嬉しい褒め言葉を今いただいて。「ray」の歌詞が本当に報われたなと。
羽海野
辛い時、とっても聴きます。あの歌。
藤原
ありがとうございます。
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