スペシャル三者対談 山崎貴 × 松坂桃李 × BUMP OF CHICKEN

スペシャル三者対談 山崎貴 × 松坂桃李 × BUMP OF CHICKEN

短編映画「WILLPOLIS」の始まりとは

ーー短編映画「WILLPOLIS」の成り立ちは、BUMP OF CHICKENが2012年に回った「GOLD GLIDER TOUR」のために制作されたMoebius×山崎貴監督によるオープニングムービーでした。そこからどのように16分間の映画まで発展していったのでしょうか?

直井
最初は、僕ら4人でツアータイトルを決めようと打ち合わせをしていて。
藤原
「GOOD GLIDER TOUR」「GOLD GLIDER TOUR」というツアーのときです。
2011年だよね。
藤原
で、「『GOLD GLIDER』をテーマに何かお話を考えて」と我々のスタッフから山崎監督に無茶ぶりをしたんです(笑)。そうしたらああいうムービーができあがって。
山崎
はしょったね!(笑)
直井
そこにいたるまで長いもんね(笑)。
藤原
そのときはオープニングムービーとしてだけの映像で。主人公のモーリが地面を掘っていて、割れたところから光が飛び出して……それをモーリがひとりで追いかける。情報屋らしき人から何かを買っていたり、彼の乗っている飛行船が飛行機に追いかけられたりと、いろんな冒険をして。そして最終的に、飛空クジラから受け取った光が金色の魚になって。
山崎
あの魚が「GOLD GLIDER」だよね。
藤原
それがライブ会場まで到着する。そういうお話で。あの映像を観たときが僕たちにとっては「WILLPOLIS」につながる世界に接した初めての機会だったんですけど、それを観てすっごいワクワクして。「あぁこの映像を全国に持っていって、ライブをするんだな」と思ったんです。それで、実際にいろんな会場でライブが始まる前にオープニングムービーの中でモーリが冒険していく姿を観て、勇気をもらって、ステージに立っていたんです。そして次に、「WILLPOLIS」っていうツアーをやろうというタイミングが来て。
直井
それも、僕ら4人でツアータイトルを決めたんだよね。
藤原
そうです。「WILLPOLIS」って言葉の響きが良くて。「WILL」と「POLIS」で「WILLPOLIS」。その言葉の持つイメージをすごく僕たちは気に入ってしまって、監督に「『WILLPOLIS』で何かちょっと……お願いします」と(笑)。
山崎
あっはっは!(笑)
藤原
監督にまた映像をお願いしようって思いついたとき、僕たち焼肉屋さんにいたんですけれど、監督にお声がけさせてもらおうって話になったときには焼肉をだいたい食べ終わっちゃったタイミングで。
直井
美味しかったよね。
藤原
美味しかったね。
山崎
ナムルは残ってたね(笑)。
藤原
そこに監督に来ていただいて。
直井
梅酒のソーダ割を頼みましたよね(笑)。
藤原
ナムルと梅酒のソーダ割でもてなして(笑)。
直井
もてなしてないじゃん!(笑)
藤原
「監督、『WILLPOLIS』でぜひオープニングムービーをお願いします」と。
直井
監督が「GOLD GLIDER TOUR」のために作ってくれたたオープニングムービーから、僕らがインスピレーションを受けて思いついたイメージをどんどん話していって。
藤原
あの世界におけるまた別のお話、もしくはあのお話の前日談とか。そういう、僕らが持ってた「こういうのがいいな」っていう漠然としたイメージをばーっと伝えたんです。それが「WILLPOLIS」の始まりです。

BUMP OF CHICKENとの仕事について

——山崎さんは、BUMP OF CHICKENによく無茶ぶりをされる、その無茶ぶりが毎回面白いから困る、面白いから受けちゃう、とほかのインタビューなどでも話されています。そんな無茶ぶりがこのタイミングでもあったんだと思うんですが、そのときの率直な気持ちを伺えれば。

山崎
いやぁ、困ったなと(笑)。相変わらずの無茶ぶりだなと。結構仕事がいっぱい詰まってるときにまた呼び出されて、案の定無茶ぶりされて、案の定面白いことを提案されたという状況だったんです(笑)。彼らとの仕事は、いつも禅問答みたいなんですよ。イメージの元を投げてくれるというか。WILLPOLISっていうのはどういうものなのか、WILLPOLISにいるのはどういう人たちなのかというのをあんまり具体的には話してくれない。でも表現したいことはわかるように提示してくれる。それがすごく面白い。それを具現化していくのが僕の仕事なので。しかも、僕はBUMPのファンなんで、できれば一緒に仕事もしたいという思いは常にあるわけで。困ったなぁと思いながら家に帰って(笑)。

ーーどれぐらいでストーリー、絵コンテはできあがりましたか?

山崎
わりと早かったですよ。
直井
あの話をして本当にすぐに絵コンテが上がってきて。
藤原
絵コンテもね、すっごい魅力的な絵で描いてくれて。
直井
それがきっかけで、アルバム「RAY」のブックレットの絵も山崎監督に描いていただくことになって。あまりにもかわいい絵だから、監督に描いてもらおう!ってことになって。
増川
すごく嫌がってたけどね(笑)。
藤原
どういうときに、どういうことを考えて描いたんですか?
山崎
いや、会社の仕事が終わって、家に帰ってきてから「そうだそうだあれやんなきゃ」って。基本的に自宅で描くんですよ。わりとサクサクとできたほうだと思います。で、BUMPのメンバーに見せて。「GOLD GLIDER TOUR」の映像で登場したMoebiusが考えてくれたキャラクターが、あの話の流れからこうなっていくとか、説明しながら見ていただいたらすごく気に入ってもらえて。……また作らなくちゃいけないのか、とも同時に思ったり(笑)。
藤原
絵コンテを初めて見たとき、すっごいワクワクしたよね。主人公以外の仲間が増えていくとか。
山崎
最初のミーティングのときに言ってたじゃん、「ロボットとかいるといいな」って(笑)。強いヤツとかも一緒にいて、とか、モーリの彼女も見たいよね、とか。わりと僕真面目なんで、出てきた意見は全部拾うんですよ。
藤原
ロボットと、強いヤツと、彼女。全部いましたね。
増川
そのロボットの過去のこととかも僕ら勝手に話し始めて。妄想しちゃってたよね(笑)。
山崎
元々少年だったんだ、とかね。結構まだ明かされていないことがある。
増川
裏設定とかが好きなんです、僕たち。
藤原
そういう裏設定が、「RAY」のブックレットで生きたりしてるんです。
山崎
「WILLPOLIS」の世界が、最初の打ち合わせでどんどんできてたよね。

——ストーリーについても少し触れられれば。短編映画「WILLPOLIS」のテーマは誰かの“意志”=“WILL”だと感じました。それをテーマにしようと決まった瞬間はあったんでしょうか?

山崎
うーん、でも最初から「“WILL”なんだよ」って話でしたね。「“WILL”で“POLIS”なんだよ」って。
直井
ひたすらそうで(笑)。
山崎
こちらも「そうか、“WILL”で“POLIS”か!」と(笑)。
メンバーでまず盛り上がった後だったから伝わりづらかったかもしれないですね(笑)。
山崎
でも思いは伝わってきて。あの映像っていうのは、目に見えているものがすべてじゃなくて、実は映像で描かれていることとは全然違うことかもしれないと。あの映像があるからファンタジーの世界に見えるけれど、実はすごく日常の物語かもしれなくて。「目に見えているものがすべてじゃない」というものにはしたいなと思っていましたね。だから改めてストーリーと言われると悩むというか、口では伝えづらいものなのかもしれない。あの物語はもしかしたら都会に生きている若者たちの話であるかもしれないし、映画には「WILLPOLIS」的なものが出てくるけれど、本当にああいう姿をしているかはわからない。映画の中ではあのような形をしているだけで、本当はもっと違う人たちがそこで暮らしているかもしれない。そういう話なんですよね。「WILLPOLIS」って本当にこのへんの街かもしれないし、それこそ渋谷かもしれないし。そういう話を最初にメンバーとしたんです。短編映画「WILLPOLIS」で描く世界はアルバムを聴いたりツアーに来てくれるファンの人たちそれぞれの物語かもしれないし、出てくるキャラクターがああいう姿をしているとは限らない。

——そのお話はBUMP OF CHICKENの音楽にも通じるところがありますね。歌っている歌詞はあるし鳴らされている音はあるんだけれど、意味を限定しない。聴いてくれるみんながどう受け取ってくれるかというのを、BUMP OF CHICKENの音楽は大切にしていると思うので。

山崎
そうですね。たぶんBUMPと手掛けた仕事から学んだ姿勢だと思います。BUMPのための仕事なのでそういうスタイルを取ったというか。普段の僕の映画って万人にわかりやすいような作り方をしていると思うんですけれど、BUMP OF CHICKENとの仕事はやっぱりバンドの流儀に則ったものにしたいと考えていて。一元的に捉えられるものじゃじゃなくて、もっと意味が含まれていたり、繰り返しに耐えられる、長い時間に耐えられる。その時代その時代で意味が変容していくものに、とは思います。
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